ノザキジュンヤ

雨の音を聴いているのさ。


オレの生まれた町は夜になるとびっくりするくらい静かになります。本当に人が住んでいるのか不安になるくらい静かになります。ただひたすらに生きる厳しさに耐えているかのような景色。
そんな夜に耳をすましてみると、風で草が揺れる音、川の流れる音、山のうねり、鶴のいびき、つぼみが少しずつ花を開く音が、鼓膜の奥から胸に忍びこんできてノックをひとつふたつ。しっかりと生きている喜びを知らせてくれるのです。

でも、オレの生まれた町だけが特別ではないと思います。あなたの生まれた町も、あなたしか知らない町の音や景色の素晴らしさがいっぱいいっぱいあるんでしょうね。

ささいなことで喜びに変わり、ささいなことでキズに変わる。生きるということは難しいが、日々の生活は音や景色でオレ達の為にと、何かを伝えてくれているのでしょう。


オーケストラのように贅沢な音が鳴る町。
明日、久しぶりに帰郷。