ノザキジュンヤ

天候に左右される。

ある程度ならしかたないが。





雨が降るらしいので木曜日に延期しよう。と昨日あれだけ言ったのに『雨天決行』と小林は言った。


ただでさえ面倒臭いことさせられるのに、雨の中の作業は非っ…常にイヤだ。いや、そんなことよりも危険なのだ。



『…。じゃ、じゃあ、せめてカッパと長靴を…』



『経費おとせないっす』



『…。』



この辺から左の眉はピクついた。









いつもの早朝。
いつもの商店街。
いつも以上の満員電車。
雨で５分遅れ。

天候ってすげぇ。
自然ってすげぇ。



冷えるので厚着。
洗って閉まっておいたモッズコートは、いいニオイで、満員電車の中を少しだけ気分よくさせてくれた。






なのに…








現場到着。
テンション低く着替える。

あら、小林の様子がおかしい。




『ちょっと待っててもらえますか。』



ヤな予感。







『あの、すいません。思ったより雨が強いので、やっぱり中止にします』





『…。』






『かん…っがえられん！あれだけ雨降るって言ったろうが小林ぃ！！しかも長靴は経費でおとせないわ、雨の中スニーカーで事を済まさせようとするわ…
あっ、前もなんかあったな。やらんくていいはずのとこ、やってくれって言って、散々綺麗に床磨かせといて（すいません、そこやっぱり範囲内じゃなかったですぅ）って！！
…まぁまぁわかった、百歩譲ってそれらは許すとして、着替える前にちょっと待ってくれぐらい言えんのかぁ！！脱いだり着たり脱いだり着たり、お前って奴はほんとに…、そうゆうとこだぞ小林ぃ！！！！』






怒鳴り散らしてやりました。








帰り際『そのコート、いいニオイするね』と小林。








うるさいよ。