ノザキジュンヤ

久しぶりに公園のベンチに座ってみた。今すぐこの汗くさい身体を洗い流したいと思っていたのに、自転車をとめて池にうつる木と気を眺めてみたくなった。ゆらゆら揺れるそれらを、じーっと観ていると少し敗北感に似た気持ちになっていった。今日の事を考えているのか、昨日の事か、おとつい？一年前？いや未来の事か？グチャグチャになった頭の中を整理するのが、その時はちょっとだけ面倒になって、その後は鯉の行方を追っていた。すっかり外は暗くなって、正面のビルの窓は、ちらほら明かりがつきはじめ、その向こうでカラスが一羽鳴いていた。テレビを観ているのだろうか？晩飯は喰ったんだろうか？彼等は今日どんな一日を過ごしていたのだろうか？あなたは？僕は？
知らないところで、たくさんのドラマが生まれていて、それはもちろん楽しいことばかりではないが、悪いことばかりでもない。毎日を全力で過ごすのは当たり前のことで、それでも、うまくいかない日もあるだろうよ。でもやっぱり素晴らしいぜこの星は。と思える日々を過ごそう。とボソッと口にしながらまた自転車に跨がり、家に帰った。
敗北感、決して負けてるわけではない『似ていた』というだけ。

明日の朝、眠い目擦って、今自分にできることをやり、汗をかいて、太陽によく似た笑顔を見つけに行こう。